儘ならないブログ

テレビドラマの感想を中心に、その他のテレビ番組・映画・本・音楽などについて書いていくつもりです。

『流星ワゴン』1話

脚本や演出がかっちりしていて(「上手い」と表現すればよいのかな)心が温かくなるという意味では楽しめたが、このドラマが内包している大きな意味でのテーマにあまり興味が持てず乗り切れなかった。

妻が浮気して家を出ていき、息子は中学受験に失敗して引きこもり、自身は仕事の失敗で会社をリストラされた主人公・一雄が自分と同じ年齢の頃の父・忠雄と過去にタイムトラベルして家庭や仕事の問題を解決していくというのが物語の大きな枠組みだ。一雄が父親になったことによって忠雄の過去の行動の真意や自分への愛情に気付くという展開はカタルシスがあって心も温かくなった。過去に戻ってもそう簡単には上手く行かないハラハラする展開によって、次回への興味をきちんと繋いでくれた。このドラマにおけるタイムトラベルのシステムやルールが気になる。演出面では、夜の街の灯りの美しさ、福山の街並みのノスタルジーなど映像がしっかりしていて画面に惹き付けられた。

ただ、典型的な昭和の父である忠雄の魅力がそれほど理解出来なかったので、ドラマ全体が忠雄を絶対的な正義として無理矢理に擁護しようとしているように思えてしまうのが残念だった。昭和の親父が自分を肯定するためのファンタジーに見えなくもなかった。同じ重松清原作で昨年放送された『あすなろ三三七拍子』はフェミニズムの権化のようなキャラクターをこれに衝突させることによって新しい価値観を生み出そうとしていた。このドラマにもそういう要素がないと、昭和の親父の独り善がりで終わってしまう気がする。

西島秀俊は中年サラリーマンの悲哀や残念さがあまり感じられなくて、まだ役にハマっていない。もしかしたら、吉岡秀隆の方が一雄に合っているのでは。

1話しか見なかったからよく分からないが、日曜劇場だと『とんび』と路線が近いのかな。今クールのTBSは『杉山真太郎』『まっしろ』『ウロボロス』に続いて、これも次回視聴するか悩み所だ。

『ウロボロス~この愛こそ、正義』1話

端的に言うと、非常に既視感があるドラマ。

自分たちの正義のためには手段を選ばない、幼い頃に殺された大切な人の復讐にほとんど全てを捧げている、事件の真相には警察組織の闇が絡んでいるなどの全体の核となる設定がどうしても金曜ドラマがこれまでに作ってきたダークヒーローモノ(『魔王』『クロコーチ』『アリスの棘』など)の切り貼りに見えてしまった。大切な人が殺される過去の回想は前のクールの『Nのために』で何回も見せられたばかり。この種のドラマは少し食傷気味だ。

両親が殺されて取り残された子供のために犯人を殺して復讐するといういかにも初回な事件のネタもありきたりで新鮮さを感じられなかった。嶋田久作悪徳刑事で犯人というキャスティングも然り。おそらく今後は光石研演じる日比野の父親が結子先生の殺害に関係しているという展開になるかと思うが、その後物語を意外な方向に進めてくれるのかが不安だ。これほど新鮮さのない1話だと期待しにくい。

ほぼ唯一新鮮だと思ったのは、生田斗真上野樹里という組み合わせ。どちらも民放の連ドラには時々しか出演しないだけに、見て得した気分になれる。『遅咲きのヒマワリ』以来の斗真くんはパーマ、ダウンジャケット、スニーカーでスーツを着こなす姿が格好良い。『アリスの棘』で好演していた上野さんはおそらく好きな男と父親の間で揺れる役柄と予想できる。また新しい一面が見たい。小栗くんはまだ出番がさほど多くなかったので、これからだろう。光石さんを含めて、吉田鋼太郎滝藤賢一ムロツヨシなどキャスティングは脇まで手堅い。

物語にはあまり興味を持てなかったので、次回を見るかどうか悩み所だ。

『問題のあるレストラン』1話

事前情報でセクハラやパワハラと闘う女性たちの物語というのは知っていたが、想像していたよりかなりハードなドラマだ。現時点では、今クールの連ドラの1話で最もグサッと来た。WOWOWの『モザイクジャパン』を経由したからなのか、坂元さんが攻め過ぎだ。

セクハラの描写がとにかくえげつなくて、見事に不快な気分にさせられる。特に藤村さつきの件は胸糞が悪くて、初回から心理的な負荷が大きい。田山さん、吹越さん、杉本さんのいやらしい演技がさすがで、ボディブローのように効いて来る。毎回、これくらいの負荷をかけられると見続けるのが辛い。次回からはもう少し見やすくなるのだろうか。復讐のハードルを高いところに設定し過ぎた気がしなくもない。この気持ちを盛り返すには相当スカッとさせてくれないと。

日記のモノローグ、夢の中で男性社員たちを殺すシーンなど、虐げられる側の気持ちに対する想像力が凄い。虐げる側の男たちの内面がどのように描かれて行くのかも見所かな。

屋上での女性キャラクターたちのテンポの良い会話はまさに坂元脚本の醍醐味で大いに笑った。彼氏にしてはいけない3B(美容師、バンドマン、バーテン)など、現代的な言い回しが特に面白い。キャラクターで言うと「ググる」さえ下ネタと勘違いして笑ってしまう鏡子がツボで、演じている臼田あさ美さんが素敵だ。

主人公のたま子はまだあまりキャラクターが掴めない。能天気なのか策略家なのか、門司のことをどう思っているのか。真木さんの演技がまだハマっていないように見える。さつきの代わりに復讐を決行したところで、男性社員たちに対して器用に振舞っているように見えて実は内心で物凄く怒りがたぎっていたのが分かったのは良かった。ハイジを含めて他の女性キャラクターは各々個性が立っていて魅力的なので、埋もれてしまわないことを期待。

このドラマのセクハラの描写がどこまでリアルなのかは分からないが、セクハラについて真剣に考えさせられた。去年、偶然見た『朝イチ』の特集も話題になっていたし。ただ、次回からはもう少し楽しく見たいという気持ちもある。視聴者に見続けてもらうにはそのバランスが難しいドラマになりそうだが、挑戦的なテーマに挑んでいるので成功して欲しい。あと、女性がこれを見てどう思うのか気になる。

『○○妻』1話

事前情報ではあまり内容が想像出来なかったが、様々な要素が混在していて興味を惹かれた。

投資の失敗で借金を作って脳梗塞で意識が戻らない父、みんなに気を使ってしまって自己主張出来ない母、怪しい新興宗教や健康食品の会社に入ってしまう次姉、中学受験に失敗して自殺願望を抱く長姉の息子など、ハードな問題が山積する久保田家。1話では子供たちが誰も母親を引き取りたがらない嫌な雰囲気の描き方に毒があってヒリヒリした。それに対して主人公であるひかりから喝が入るというのはまさに遊川さんらしい構図だが、そのときの柴咲コウの演技に阿久津真矢(『女王の教室)、三田灯(『家政婦のミタ』)などとは一味違う狂気があって惹き付けられた。普段は控え目過ぎるひかりが土下座するくらい下手に出ながらも有無を言わせない強制力を持つというのは新鮮なキャラクターだ。母親の悲しみに寄り添うあまり挙動不審に見えてしまう、柴咲コウの表情が素晴らしかった。

正純の仕事パートは遊川さんのテレビに対する思いが表れているようで面白かった。報道番組のワイドショー化を嘆いて、表現者として世界を変えたいという情熱を語る正純にどれくらい遊川さんが投影されているのか気になる。ニュースキャスターという設定はこのためだったのね。今後もこういう件が入って来るのが楽しみだ。

物語の核となるひかりの秘密については、放送前はロボット、視聴中は子供を産めない体を予想していたが、ラストで2人が婚姻届を提出していない契約結婚であることが明かされた。ひかりは一生愛が続く自信がないからと正純には説明したらしいが、真意はどこにあるのか全く想像出来ない。続きが気になる謎の作り方、見せ方が上手い。黒木瞳演じる千春を通して徐々に過去が明らかになっていくようだ。ラブストーリーの要素が濃い予感がして、期待が高まる。

子供から老人まで含んだホームドラマでもあり、遊川さんによるテレビ論でもあり、まだ実態の掴めないラブストーリーでもある。もちろん視聴継続。

『残念な夫。』1話

子育てをテーマにしたドラマは数多あるが、その中でも産後危機というテーマはあまり見たことがなくて新鮮だった。上手いところを突いて来たなという印象で、それなりに楽しめた。

子供が生まれても、趣味や交友関係にお金を費やしたり、自分中心に家を使ったりしてしまう陽一の姿は(僕は未婚で子供もいないが)男として身につまされるところがあった。妻の子育てを「手伝う」感覚になってしまうというのはリアリティがあった。もし自分に子供が生まれたとして上手く子育てに参加する自信がなく、結婚はしても子供がいない方が良いのかなという考えが何回か頭の片隅をよぎってしまった。今後は浮気の誘惑など色々な問題が起こりそうだが、陽一が真剣に子供と向き合って父親としての自覚を持つに至る過程を見て、自分の考えがどのように変化するのか楽しみだ。

1話を見た印象では知里は専業主婦志向が強いのかと思っていたが、番組ホームページによると出産前まではインテリアデザイナーとして働いていたようだ。知里が仕事に復帰したいという考えを持つと、問題はもっと難しくなるはず。この辺りにも臆せず切りこんで欲しい。

その他の登場人物では黒木啓司と高橋メアリージュン演じる須藤夫妻が気になった。一見理想的な夫のようだが、花とアクセサリーをプレゼントされても妻の笑顔がどこかぎこちないのはどういうことなのだろうか。

残念だったのはコメディとしてのクオリティ。知里の機嫌をとるために陽一がズボンを下ろして抱きつく件は笑ったが、高速再生したりアニメを使ったりする演出はあまり効果を発揮していなかった。ここが良くなれば、格段に見やすくなるはず。玉木宏のコメディアンとしての能力を存分に引き出して欲しい。

視聴者が登場人物に自分を重ねやすいドラマで、次回への興味がそそられる。視聴継続。

『まっしろ』1話

『昼顔』の次の井上作品ということで期待していたのだが、あまり楽しめたとは言えない微妙な滑り出しだ。

子供たちが看護師になりたいと思えるような等身大の仕事と私生活を描きたいという井上さんのコメントが番組ホームページにあったが、1話はどちらかと言えば仕事に比重を置いた物語になっていたかな。看護師によって自分の役割に対する認識が違うというのは少し興味を惹かれたが、鹿賀丈史演じる患者との物語が何の捻りもなく残念だった。初回は登場人物の説明がメインだからこのようになったのかもしれないが、患者との関係を通して看護師という仕事をどのように描くのかということがベースにあるべきドラマだと思うので、時間をかけてそれを描いて欲しかった。

もう1つの軸である恋愛パートもオチが簡単に想像出来てイマイチな出来だった。今後も毎回イケメンゲストが登場して朱里が好意を抱くという構成なのかな。柳楽優弥演じる、有名な海外の大学にいたと評判なのにオペの技術がそれほどでもない医師が朱里を気にし始めたようで気になる。この2人がお互いを意識し出すと楽しそう。外見も含めて、彼のキャラクターはなかなか面白いのでは。

彼以外は、主人公を含めて全体的にキャラクターが弱い。志田未来高梨臨菜々緒(『ゴーストライター』にも出演。火曜日はフジからTBSへ梯子)、木村多江など若手からベテランまで多様なキャスティングで群像劇の色合いが濃いと思っていたが、どのキャラクターも先が気になる要素がなかった。

想像していたよりライトなテイストの割にはコメディというわけではないのが中途半端に思えてしまって肌に合わなかった。次回の視聴は微妙。

『ゴーストライター』1話

期待通り、いつもの橋部さんのドラマとは違う雰囲気が面白い。

中谷美紀演じる人気作家・遠野リサが追いつめられていく描写のじわじわ具合が良い。書きたいという欲求があるにもかかわらず書けないことへの焦りから自分の評判が気になってエゴサーチしてしまったり、若い編集者に笑顔で10年前の作品が一番好きだと言われて苛立ってしまったりと細かい描写でリサの心情を徐々にあぶり出していく。自分の能力への誇り、周囲からの期待がリサを追いつめていることがよく分かる。1度は水川あさみ演じるアシスタント・由樹の追悼文をそのまま使うことを決意するが、最終的に自分で書いた追悼文を出稿するという展開はリサのプライドが滲み出ていてスカッとした。

仕事に加えて、反抗的な息子、認知症の母と家庭にも問題があるリサがどのように追いつめられて由樹をゴーストライターとして使うようになるのか。一方、小説家を夢見る純粋(単純)な田舎娘・由樹がどのようにして強者になるのか。2人の変化の行方が楽しみだ。リサには今の橋部さんが、由樹には昔の橋部さんが投影されていたりするのだろうか。

能面のようにも見えるミステリアスな美しさの中谷美紀、髪型と衣装からして冴えない水川あさみ。どちらも役のイメージを体現していて、キャスティングも良い。三浦翔平のポジションは何となく『サキ』を思い出す(1話しか見なかったが)。田中哲司演じる編集者、木村緑子演じる秘書もそれぞれ思惑を抱えているようで気になる。

ヒリヒリする女同士のバトル、当然視聴継続。